不織布もバイオマスへ。地球環境配慮への第一歩
日常生活や社会活動を行っていくために欠かせないエネルギーですが、日本のエネルギー自給率がとても低いことはご存知の方も多いと思います。
今回は従来のエネルギー資源と、これからのエネルギー資源に焦点を当てていきたいと思います。
日本のエネルギー自給率が低い原因は国内で採掘できるエネルギー資源が少ないことが挙げられます。エネルギー資源とは石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料のことで、日本国内でこれらの化石燃料はほとんど採掘されず、海外からの輸入に頼っています。また化石燃料は燃料としてだけでなく生活を豊かにしていくための商品や食品にも関わりがあるのです。
例えばプラスチックは石油を分解し取り出した成分「ナフサ」を主原料としています。今や私たちの生活は「脱プラスチック」と言われるほどプラスチックが浸透し、プラスチックの無い生活は考えられない程ではないでしょうか。また農作物を育てる時のビニールハウスの暖房や、物資の輸送に必要なエンジン燃料も石油や石炭を使用しています。
このことから、化石燃料は生活を行う上で無くてはならない存在だという事がわかります。しかしその裏側で、化石燃料の値上がりによる商品原価の高騰、燃料を燃やすことによる二酸化炭素排出が原因の環境汚染問題など、多くの問題があります。
注目のバイオマス資源とは
そんな中、次世代エネルギー資源として注目されているのが「バイオマス」エネルギーです。 バイオマスとは動・植物に由来する有機性資源のことを指していて、薪や炭のような形で日本では古くから利用されていました。それらを燃焼したりガス化することによって得られた熱をそのまま利用したり、発電に利用するほか家畜糞尿などの有機物をメタン発酵させてガスを取り出し、そのガスを燃焼させて利用します。
牛3頭の1日分の糞尿で1家庭1日分の電力が賄え、サトウキビ1トンでエタノールが0.2トン取り出せ、車の燃料に使用することができます。このことからバイオマスエネルギーは化石燃料に次ぐエネルギー資源として注目されています。 また化石燃料は燃焼させると二酸化炭素を排出するだけですが、バイオマス燃料は燃料となる素材の成長過程で光合成を行い大気中の二酸化炭素を吸収するため、二酸化炭素の排出が実質ゼロとみなされます。この考え方を「カーボンニュートラル」と呼び、今後の地球環境を考えていく上で大切なポイントになります。
バイオマスエネルギーの種類
ここでバイオマスエネルギーの元となる原料を見てみましょう。
廃材や木くず
間伐された木や建築廃材や流木を「木質バイオマス」と言い、薪やボイラーの原料として活用されるのはもちろん、バイオマス原料として発電等にも利用されます。
バイオエタノール
サトウキビやトウモロコシ、さつまいもなどの食材を利用して作成する「エタノール」のことです。これらの原料を発酵させて蒸留して作りガソリンと混ぜて、ガソリンの代わりとして車を走らせるのに利用します。
バイオガス
生ごみや食品廃棄物、動物の排泄物等にのこる有機性廃棄物から発生するガスのことです。熱による分解や発酵を経て肥料といて畑に還元されますが、発酵の過程で発生するガスは発電機の燃料等に利用されます。
バイオディーゼル
菜種油やオリーブオイル、腐食用油などを原料としたものでディーゼルエンジンに利用されます。
ちなみにアメリカとブラジルではバイオエタノールの利用が進んでおり、特にブラジルでは車の燃料としてガソリンにバイオエタノールを混ぜるのが義務化されているようです。これはブラジルが世界最大の砂糖の生産・輸出国で長年にわたってサトウキビを原料としたエタノール生産を国家主導で行われてきたために実現しているのではないでしょうか。
商品につけるバイオマスマークとは
さて、今までは燃料に関する「バイオマス」について焦点を当ててきましたが、次は商品における「バイオマス」について焦点を当てていきたいと思います。
先にもご紹介したように有機性資源を利用した素材のことをバイオマスと呼び、それは燃料だけでなく身の回りの商品の素材の代替として使用されることも多くなりました。
そしてバイオマス素材を利用した商品には品質及び関連法規、基準、規格などに合致していることを表す「バイオマスマーク」を付けることができます。
バイオマスマークには、バイオマス素材の含有率を表す「バイオマス度」が表示され、10~100%まで5%刻みで表示され、どの部分にバイオマス素材が使用されているのかについても明記がされていて、レジ袋やティッシュ箱、お菓子パッケージに至るまでたくさんの商品に記載されています。 では身近にあるバイオマスマークについてお菓子を例に見ていきたいと思います。
森永製菓株式会社の「小枝」の大袋裏面には内袋フィルムにバイオマス素材が使用されており、説明も記載されていますね。初めてバイオマスマークを見る場合、何のマークか分からないのでこの説明を読むことで理解することができます。
カルビー株式会社「Jagabee(じゃがビー)」のパウチ袋はバイオマス素材が20%含まれています。
株式会社不二家「カントリーマアム」の大袋はバイオマスインキが使用されているようです。
その他にもレジ袋やコンビニのドリンクカップ等、私たちの身近な商品で最近よく見かけるようになりました。商品ごとにどの部分に何%バイオマス素材が使用されているのかが異なるのでバイオマスマークを探して見てみるのも面白いのではないでしょうか。 また、同じメーカーから発売されている商品でもバイオマスマークが付いている商品と付いていない商品があり、今後徐々に切り替わっていくのではないかと思われます。
バイオマス不織布バッグのノベルティ
生活に浸透しだしている「バイオマス」素材を使用した商品の中でも、当社では「バイオマス不織布バッグ」の取り扱いを始めました。
不織布バッグはコスト面や使い勝手の良さから展示会やセミナーの資料を入れるためのバッグやギフトの包装材など様々な場面で使用されています。皆さんも一度は手に取ったことがあるのではないでしょうか。100円ショップでも手に入る便利な商品ですが、視点を変えて環境面から考えてみたいと思います。
実は市場に流通している不織布バッグのほとんどがポリエステルやポリプロピレンなどの石油由来の素材から作られています。その事を考えると不織布は環境にやさしいとは言いづらい素材かもしれませんね。
一方バイオマス不織布は、サトウキビの不可食部分をプラスチックに合成して繊維にしたものと石油由来の繊維を紡糸して作られた生地を使用しており、プラスチックの使用量を抑えた素材になっています。
もちろん当社で取り扱うバイオマス不織布もサトウキビ由来の繊維を元に作られています。そして予め不織布バッグにバイオマスマークを印字しているので、目に見える形で環境配慮素材であることをアピールすることができます。
不織布は気軽で使いやすく、繰り返し使う事ができます。だからこそ環境に配慮した素材を使用し、より一層環境問題を考えるきっかけにしてみませんか。